不登校ひきこもり 思春期ブルー相談室ブログ

家族支援カウンセラー海野しぶきによる不登校・ひきこもりの解説と、わが家の話


夏の風物詩、花火大会。ある家族のできごとから、子どもの受容について考える

今週のお題「夏休み」

 

花火の音が怖い子どもに対する、家族それぞれの対応

先日地元の花火大会があり、解放された公園の広場に、犬を連れて夫婦で出かけました。

毎年恒例行事ですから楽しみ方もだいぶ習得してきて、今年は敷物とバスタオルを持参し、タオルを枕に寝っ転がりながら間近で打ち上がる花火を堪能しました。

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同じように花火を楽しむ人は周りにもたくさんいるのですが、今年は隣にいた4人家族が気になって仕方がありませんでした。
お父さんお母さんと、5歳と3歳くらいの女の子の姉妹。
おねえちゃんがパパの膝に座り、下の子がママにくっついています。

ところが、花火の打ち上げが始まった途端、下の子が花火を怖がり泣き始めました。
ふぇーんふぇーんという泣き方なので全然泣き声が響くわけではないのですが、お母さんの声が響き渡っています。

「大丈夫だってば!大丈夫だって言ってるでしょ!
お母さんが抱っこしてるんだから、大丈夫!
大丈夫だって!熱くない、熱くないよ!飛んでこないから!
ねぇ、ほらー!大丈夫だって言ってるでしょ!」
とずーっと怒っています。

大きな声なのでほとんど怒鳴っていますし、とても怖がる娘を慰めている声ではありません。

花火よりこちらの親子が気になってしまい、夫と二人で目配せして小声で「かわいそうだね」と言い、その小さな女の子の様子をチラ見すると、座ったママにへばりついて、肩に顔を埋め、タオルを握りしめています。
全く花火を見ようともしていません。

ずっと叫び続けるお母さんに対して、お父さんはおねえちゃんと花火を楽しんでいるようでしたが、一度だけ
「ねぇお父さん、〇〇ちゃん、怖いんだって。」
とお母さんに言われ、お父さんは無言のまま優しく下の子の頭を2、3回撫でていました。

〇〇ちゃんはお父さんに顔を向けることもなく固まって泣き続けていましたが、私はお父さんがお母さんと一緒になって怒る人じゃなくて、ホッとしました。

それで私も気持ちを切り替えて、後半の花火を楽しむことができたのです。


花火が終わり、皆がそれぞれ帰り支度をしていると、お母さんから離れたその小さな女の子が、地面に座っている私のすぐ横に来て、私の顔を涙目のままじっと見ています。
手を伸ばせば抱けるほどの距離にいるその子に向かって、
「花火の大きな音、怖かったねー。」
と思わず話しかけてしまった私。
コクンとうなずくので、
「音が怖い時は耳を塞ぐといいよ。」
と、お節介全開で言ってしまいました。
もう一度、しっかりうなずいてくれましたけど、3歳くらいの子に理解できたかどうかはわかりません。

でもその直後、その子のおねえちゃんが大きな声でお母さんに言っていた言葉がとても良かったんです!
「〇〇ちゃん頑張ったから、おやつあげよう!」
ですって。

花火の間中、黙っていたおねえちゃんですが、妹が怖がっていることが気になっていたんですね。
この言葉に、私のモヤモヤした気持ちがほんわりあたたかくなり、笑顔になれました。

おねえちゃんには妹の本当の気持ちがわかるんだと思います。
こんなに怖い思いを我慢したんだから、ご褒美がほしいですよねー。
それに、おねえちゃんがどんなに怖かったかをわかってくれていたら、この小さな女の子は心強いことでしょう。


もしこのご夫婦が、大きな音を嫌がるタイプの人がいることを知っていれば、小さな子どもにこんな拷問のような我慢をさせなかったと思います。
花火の間中ずっと怒ることもなかったでしょう。

あのお母さんの口調で、毎日のように怒られ続けていたら、子どもはおそらくあと7、8年もしないうちに自己肯定感が破壊されてしまいます。
子どもの命がけの訴えを全否定するんですから。

一度も否定しなかったお父さん、気持ちがわかって応援してくれるおねえちゃんの存在が、この子にとっては救いなんだと思います。


たかが花火の音くらい、と大人は思ってしまいがちですが、言葉がうまく話せない小さな子どもが全身で嫌がって泣いて拒否して、一度も花火を楽しむ余裕もなければ、それは感覚的に受け付けられないという命がけの表現です。
いくら大人が「大丈夫」と言ったって、それは大人の感覚で決めつけているのであって、その時のその子にとっては大丈夫ではありません。
大人はそこを理解して、その子の訴えを拒否せず、怖くなくなる方法をぜひその場ですぐに見つけてほしいものです。

守ってもらえた、という経験、受け入れてもらえた、という安心感が積み重なれば、「本当に大丈夫だ」とわかり、子どもの自己肯定感は損なわれることなく、いろんなことにチャレンジできるようになるのだと私は思っています。